法務と財務がリンクする事例の紹介
具体的な事例の紹介をこちらに列記いたしました。
最近では、次のような業務を取り扱っております。
(すべて非公開会社が対象の案件です)
半世紀以上の歴史のある会社が、資金繰りに苦悩し始めていました。売上の急落によりかろうじて出ていた利益が無くなり、大幅な赤字となっています。 当面は取引先の支援でしのげるものの、抜本的な対策が必要です。
財務状況を見ると、実態収益力に比して借入が過大であり、借入を圧縮して出血を止める必要があります。銀行の担保はついているものの、本社ビルはまだ所有しているので、これを処分すれば借入を2分の1程度圧縮できます。 支援者に売却することにより、足元を見られることによる売却価格の著しい下落を防ぐこととしました。 処分せずに賃貸に出して運用すれば金利以上の利回りとなる可能性もありますが、借入圧縮で元金の返済負担を小さくするのが先決です。
これでひとまず出血は止まりそうですが、現状のコスト構造のままでは赤字が続くことは確実です。今後、人員削減を含めた厳しいリストラ・コスト削減を徹底的に行わなければなりません。 伝票1枚1枚を見直すような地道な力仕事や、慣行や通例とは異なるような取引の要請も必要になるでしょう。 また、財務面からの再生が必要となってしまう会社の特徴として、全体として危機意識が低い・覇気がないことが挙げられると思いますが、意識改革も必要です。
長年の積み重ねにより、結果として社員の意識を高められなかったことも、経営責任といわざるを得ないのでしょうか。 背景には様々な事情もあるでしょうが、経営者は結果に対し責任を負わないといけないのです。経営者とは、大変な職業です。
ある企業オーナーが、本体とは別の会社を新たに設立しました。
なかなか顔の広いオーナーで、出資者をかなり集めることができるとのことです。
ただ、株主の数がやたらと増えても管理が大変ですし、株主総会の決議がまとまらないといったことにもなりかねません。また、スポンサーから再生資金の投入を受けるわけでもありません。
そこで当然、議決権の無い株式を発行しよう、ということになりますが、その見返りに配当を優先させるのもまた当然のことです。
では、どれくらい優先させるのでしょうか?出資者は、社長が自らの人脈から募っており、いわば縁故のようなものです。とすれば、投資ファンドのように IRR20 %以上、というような厳しい要求はされなさそうです。
かといって、国債並みではリスクに見合いません。少なくとも、大手上場企業を上回る利回りで、切りのいい数字なら、説明がしやすい気がします・・・というような考えをめぐらし、優先配当額を決定しました。率ではなく、額だというのがポイントです。
そして、種類株主が多くなる場合の種類株主総会は非常に煩雑になるため、議決権は極力排除しました。配当も非累積にしたので、「口出しできないけれど、会社が儲かったときに○円もらえるかもしれない」という権利のついた株式となりました。
こんな株式が受け入れられるのも、まさに縁故募集だからですね。たぶん、そのオーナーも、自分のお知り合いの方に同じようなことを頼まれれば、応じるのでしょうね
60 代半ばの、ある中小企業のオーナー社長が考えていました。
自分が引退した後、会社をどうしようか、息子は継がないといってるから社内の誰かに社長を継がせようか、それとも廃業しようか・・・。
そこで、 5 年後程度をめどに引退するためのいくつかのシナリオを考えました。今回は、
・ ①社長を継がせて事業継続、
・ ②事業と不動産を切り離して事業を売却(都内のいいところに不動産がある会社なのです)、
・ ③廃業、という 3 つのパターンを想定しました。
①のように事業継続できるのが雇用を守ることができ一番いいのですが、残念ながら斜陽業種で今後の大きな飛躍は期待できません。冷静な社長はそのことを十分認識しています。
実は再開発の話がまとまりつつあり、何年か後には土地が買収される、という事情があるので、開発後にビルの 1 室をもらえたりするなら、②もなかなかよさそうです。ただ、事業を買ってもらうには営業キャッシュフローで黒字が絶対条件といってもいいでしょう、直近の営業利益(キャッシュフローとは違いますが)が赤字なので、対策を考える必要がありそうです。売り上げをいろんな角度から分析すると、今後期待のできる売り先がなんとなく見えてくるかもしれません。
③廃業も、現状は資産超過で支払い原資もあるので、取りうる選択肢です。債務超過なら、廃業ではなくて破産になります。廃業という選択肢があるのは、そこそこがんばってきたし、がんばっているという証左です。雇用の問題もありますが、廃業という手もありそうです。
シナリオどおりことが運ぶことはまずありませんが、ゆとりのあるときに大きな絵を描いておくことは非常に大切です、目先の資金繰りがきつくなってからでは、そんなこと考えている暇はないですよね・・・
ある会社の役員が引退しました。株もかなり保有しています。
この株を、どうにかして買い取りたいのですが、会社が買い取ると評価が高くなってしまうし、かなりいい会社なので内部留保も大きく税金の負担も大きくなります。
一方で社長は、従業員に経営に参加する意識を持ってほしいとの願いから、(民法上の組合としての)従業員持株会の組成も考えていました。そこで従業員持株会が役員から株式を買い取ることにしました。こうすれば、株式の評価を低く抑えることができ、従業員の経営への意識の醸成にもつながります。
あとは持株会を設立し、従業員が資金を拠出し代金を決済すれば手続き終了です。ただ、 この会社は先見の明があり、いち早く海外展開を行ってきた関係で、持株会設立日に国内にいない従業員が多数存在することが発覚しました。
決済日はずらせないし、どうしよう・・・そこで、いったん社長の個人の口座に入金して、社長は預かり金で処理した上で、決済日に従業員名義で持株会の口座に振り込むことにしました。振込名義まちがえたり、振込金額不足にならないでくださいよ、社長・・・まさに、社長の双肩にかかっている状態です。
何億の取引からこんな話まで、社長業もいろいろと大変です・・・
最近のPEによる非上場中小企業の買収案件は、 SPC 設立、 SPC による買収資金調達(エクイティ、デット)、 SPC による対象会社の株式の買取、 SPC と対象会社が合併、という流れになるのが通常です。
デット調達の担保は対象会社の株式であり、これにレンダーのため質権を設定することになります。株式を担保に取った以上、会社全体を担保に取ったことにはなりますが、さらに不動産や動産、売掛債権にも登記手続きをとることになります。
司法書士たるもの、不動産だけではなく動産譲渡登記、債権譲渡登記もできなければなりません。さらに、工場等にかけてある火災保険の保険金請求権や商業手形も担保に取ります。
実効性のあるなしを問わず、担保に取れるものはすべて担保に取り、公示できるものは全て公示するというスタンスであり、これが実務に定着しているのでしょうね。そうそう、確か、不動産のノンリコースローンの場合は、アセットマネージャーやプロパティマネージャーに対する(可能性としての)損害賠償請求権にも質権を設定していました・・・
財務・法務に強い:司法書士オフィスくわばら(京王線沿線)
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